額縁に使うマットって何?選び方・額縁とセットで使うと様々な効果を発揮する「マット」のメリット
額縁に使われるマットは、美的な効果だけでなく作品の保護や統一感を持たせるなど、様々な効果を持っています。 額縁マットの効果的な使い方とサイズの選び方について紹介します。
マットを上手に活用することで、作品の魅力を最大限に引き出すことができます。独自のアートづくりにチャレンジしてみましょう。
Contents
そもそもマットって何?
作品を飾る時に、額縁にピッタリ入れるというのが一般的にイメージしやすいものですが、額縁店に行くとおすすめされるマット。
おすすめされるけど、一体どういう意味があるの?とお思いの方も多いのではないでしょうか。
端的にいうと、マットは額縁と作品の間にある台紙のことです。 水彩画・写真・イラストなどのシート状から薄めのボード状の作品を額装する場合、最も綺麗に額装できるのが、マットを使用した額装方法です。
ピッタリのサイズの額縁に入れるよりも、見栄えは段違いに良くなります。
そもそもマットを使用することで、どんなことが起こるの?ですよね。
マットを使用することのメリット
作品と保護板との密着を防ぎ長期保存・鑑賞に最適
作品と保護板(ガラスやアクリルなど)に空間を作ることにより、保護板と作品の密着や摩擦から作品を保護します。
作品によっては長期間飾っていると保護板に貼り付いてしまい、作品を傷めてしまったり、大切な作品の価値が下がってしまうことにも繋がります。
マットを使用することで作品の価値を維持する(作品の寿命を延ばし、長期的な保存に適した環境をつくる)ことが出来るといっても過言ではありません。
マットの素材は中性紙がほとんどなので、酸性や湿気から作品を守る役割も果たします。
作品に広がりや立体感を出す
作品ピッタリの額縁に飾ると、全体的に作品が窮屈に見えてしまう場合もあります。
マットを使用すると、作品と額縁の視覚的な広がりを作り出し作品を引き立てる役割を果たします。
また、作品に奥行きや立体感を与え、視覚的な観賞価値を高めることができます。
規格サイズの額縁に入れるための調整素材となる
「どうしてもこのデザインの額縁が欲しい」「けどちょうどいいサイズがない」 譲れないこだわりもあると思いますが、こんな時にもマットを使用すれば飾ることができます。
まずは飾りたい作品のサイズよりも、一回り大きな額縁を選びます。 次に、額縁と同じサイズのマットを用意し、窓抜きを作品のサイズに合わせてくり抜きます。
最後に、窓抜き部分に作品セットして完成です。マットの幅(タテヨコ)は均等にはなりませんが、見栄え良く飾ることが出来ます。
オーダーサイズで作るよりも低い予算で買える
規格サイズにないサイズの場合、オーダーサイズが1つ目の選択肢として出てきますが、オーダーで作った場合、規格サイズに比べて値段が高くなってしまいます。
相場は近しい規格サイズの約1.5~2倍程度です。マットを使用することで、規格サイズの額縁を使用することができるようになるので、オーダー価格よりも安価に額縁に飾ることができます。
マットを使用することのデメリット
マットを使用することで様々なメリットが得られるのは説明した通りですが、一方でデメリットもあります。
窓抜きサイズ等を間違えないように自身で設定する必要がある
マットを使用する際は、作品に合わせた窓抜きをご自身で設定する必要があります。
作品ピッタリに合わせると作品が落ちてしまいますので、様々な要素を加味した窓抜きサイズを設定します。
作品サイズよりも一回り大きな額縁になる
マットを使用すると、額縁が一回り大きくなるため、想定していたサイズ以上の飾るスペースが必要になります。
上記に挙げたデメリットよりも、メリットの方が大きいので、作品を飾ることをお考えの方は、マットを使って額装することにチャレンジしてみましょう。
マットの中抜き(窓抜き)サイズ・額縁サイズの決め方
マットを使って額装する際は「ガラス→マット→作品→裏板」の順番で入れていきます。
断面を図にすると、以下のような構造になります。
中抜きを作品と同じサイズにすると、マットで作品を支える部分が無くなり、手前に落ちてしまう可能性があります。
マットを中抜して使用する際は「マットが作品にひっかかる部分」を必ず確保するのが一般的です。
当店では作品がマットに被る部分を「各辺5ミリ程度」と設定していますが、実際に額装した際には、作品に被る部分は「隠れる部分」であると認識下さい。
マットの中抜きサイズの決め方
通常マットは中抜き加工を行いますが、額縁店にマットを注文したら、無料で中抜きしてくれます。
1.作品寸法を測って中抜き寸法を決める
以下の作品を例にお話を進めていきます。まずは作品寸法を測ります。縦と横の寸法をそれぞれメモしておきましょう。
今回の場合は「210×140mm」です。 額縁店に頼む時は、ミリ単位でのやり取りが主になっています。
次に中抜き寸法を計算します。通常、中抜き寸法は作品寸法よりも少し小さめに設定します。(先述の通り各辺5ミリずつ)理由は、作品がマットに収まってしっかりと支えられるようにするためです。
今回の場合、作品の寸法が縦210mm、横140mmですので、四辺を5ミリずつ引いた値を中抜き寸法に設定します。
作品の寸法:縦210×横140mm ⇒中抜き寸法:縦200×横130mm
これで中抜き寸法の設定は完了です。
2.額縁のサイズを決める
マットの中抜き寸法を起点に、額縁のサイズを決めます。中抜き寸法にマット幅を足したものが、対応できる額縁のサイズです。あとはこのサイズに近い額縁サイズのものを選びます。
※マット外寸と中抜き寸法の間の事を「マット幅」と呼びます。
ここで大切なのがマットの幅の設定です。
多くの額縁店では、中抜きできるマットの幅には限界があり、弊社マットカッターマシンの性能上では最低25ミリ以上となっています。
マット幅が細すぎる場合、正面から見た幅が細くなりかえって見栄えが悪くなる場合もあるということも踏まえて、25ミリ以上の幅をお勧めしています。
先程設定した、窓抜きサイズの例をもとにお話します。窓抜きサイズが「タテ200×ヨコ130ミリ」の作品の場合、最低マット幅を足すと以下の様になります。
縦:200ミリ+(25×2)=250ミリ 横:130ミリ+(25×2)=180ミリ
今回の場合「長辺が250ミリ以上、短辺が180ミリ以上」の大きさの額縁であれば、規格サイズの額縁に収めることができます。
3.額縁のサイズを決める
額縁のサイズが先程計算したサイズよりも大きい場合でしたら、問題なく収める事ができます。
今回の場合は一番近い「インチ(254×203mm)」からお選びいただけますので、インチを選択します。
この時注意してほしいのが、額縁は「マットなし」の状態で売られていることがほとんどです。
マットも額縁と同じサイズで別途購入してくださいね。
また、先程計算した「中抜き寸法」も、注文時に必要になる情報となります。
おまけ:額縁の大きさで、見た目もマット幅も変わります。
今回は一番近いサイズの額縁を選んだ例を紹介しましたが、一番近いサイズよりも、少し大きめサイズを選ぶことで、見た目もマット幅もガラっと変わります。
マットは額縁と作品の間に重要な役割を果たし、作品の鑑賞価値の向上、保護などに貢献する、額縁とは切っても切れないアイテムです。
マットを使って額装することが出来れば、さらに額装の世界が広がります。ぜひお試しくださいね。
初めてマットを使って額装するけど、自信がない場合は、ぜひ当店にご相談下さい。選定方法など、最後までサポートさせていただきます。